日本各地の面白い馬事業について、うまテラス代表のYURIE KONOが、インタビューをしていきます!
今回は「馬と歴史と未来の会」の理事長である、上田優子さんにインタビューをさせていただきました。新しいカタチの「引退馬支援」とは、どのようなものなのでしょうか?
YURIE KONO(以下、YURIE)
「本日はよろしくお願いします!
まずは、簡単に優子さんの自己紹介をお願いします!馬との出会いから、どのような経緯で現在に至るのですか?」
上田優子さん(以下、上田)
「2020年4月に、「馬と歴史と未来の会」を立ち上げました、上田優子です。
元々は、仕事で男性向けのジュエリーを販売していたのですが、男性のお客様とお話しする際の”共通の話題”として「競馬」を勉強し始めたのが、馬と関わるキッカケでした。
その後は、結婚・出産・子育てなどで馬と関わる余裕はなかったんですけど、40代になって子育ても落ち着いて、また少しずつ競馬を再開し、引退馬について知ることになりました。
当初は、アハルテケイオンという名前の元、個人で引退馬支援などの活動をしていたのですが、個人だとどうしても制限があったんです。
法人化させることでもっと幅広い活動ができると思ったので、法人化させ、「馬と歴史と未来の会」として再スタートしました!」
YURIE「馬と歴史と未来の会では、どのような活動をされているのでしょうか?」
上田「馬の活躍の場を増やす事、馬の仕事を増やす事を目標に、
引退馬支援として、馬糞の活用や、飲食業や農業と馬を絡めた事業を行っています。
引退馬の活躍の場を広げるためにはどうしたら良いだろう?と考えた時、乗馬人口はそんなに急速には増えないので、馬に新しい価値を見出してくれる人や異業種を探して行くことが大切だと思い、このような活動をしています。」
YURIE「馬糞活用に、飲食に、農業まで!?本当に幅広いですね!」
上田「私たちが大切にしているのは「馬の存在そのもの」に価値を見出す活動をすることです。
馬であれば、「馬糞」は全ての馬から出てきますよね。
これを上手に活用して、ある意味「馬に自分の食い扶持を稼いでもらう仕組み」を作りたいと思って、「馬糞」に目を付けたプロジェクトをしています。
例えば、馬糞堆肥を使ったリンゴの木の栽培をしています。
単に馬糞を活用するだけでなく、そのリンゴの木を「オーナー制」にしたり、リンゴジュースの収益の一部を引退馬支援に回りしたり、という仕組みを作っています。
このリンゴジュースは、2019年のホースメッセでも出店させていただき、大好評をいただきました!」
YURIE「馬のオーナーではなく、“馬糞で育つリンゴの木のオーナー”というのが面白いですね!」
上田「そうなんです!
あとは、私の馬である”元”引退馬「ナグラーダ」が、レース復帰を果たしました!
当初は、競走馬時代に骨折引退をしたナグラーダを引き取り、”リトレーニングをして乗用馬としてのセカンドキャリアを”と思っていたんです。ですが、リトレーニングを重ねる中で「現役復帰もできるんじゃない!?」と思うくらい、どんどん調子も戻ってきたんですよ!
そこで、色んな方々と相談し、協力し、「もう一度レース復帰を目指してみよう!」と今に至ります。
また、支援金の使い道を支援者さんたちと考える、新しいカタチの「馬のサポーター制度」も新たに作りました!
負けた馬でも、馬たちの得意不得意関係なく「ただ存在しているだけで、十分価値があるよね」という社会にできるよう、様々な仕組みを作りたいです!」
YURIE「引退馬支援を始めたキッカケはあったのですか?」
上田「引退馬の事実を知った時にかわいそうという感情もありましたが、何より、競走馬として信頼関係を結ぶような調教をされて育てられた馬を、最終的に肉にしてしまうのが悲しいと思ったんです。
食肉のために生まれた子であれば、愛情は注ぐかもしれないけど感情移入はあまりしないですよね。でも、競走馬は違うじゃないですか。
小さい頃から時間と愛情をかけて信頼関係を築き上げてきたのに、その信頼を切って食肉にしてしまう、というのがどうしても”やるせない”と思ってしまうんです。
だからこそ、活躍できない子でも”存在していることに価値がある”という風にしたいなと思っています。」
YURIE 「先ほどのお話の中で、支援金の使い道を支援者さんと一緒に考える「サポーター制度」を作ったということでしたが、通常の支援制度と何が違うのでしょうか?」
上田「お金を払って引退馬支援をできるところはたくさんありますが、通常、そのお金の使い道は支援先の団体に委ねられますよね。ですが、今回作ったサポーター制度は、サポーターさん自身にお金の使い道を選んでもらおうという制度です。
年額1万円から支援ができるのですが「そのお金を、何に使うか?」を、毎月多数決で決めてもらうんです。
そうする事で、その時の馬の状況に応じた支援を提案できますし、お金の使い道も明確になるので安心して楽しみながら支援していただけます。お金を払うだけでなく”馬の事を考える時間”ができる点も、この制度の良いところです。
YURIE「支援金の使い道が自分で選べるというのはすごく良いですね!安心して任せられるのはもちろんのこと、馬のことを考える時間も増えれば、その馬への愛情・愛着もぐんぐん高まりそうですね!笑」
上田「まさにその通りだと思います!」
YURIE「それでは最後に。
引退馬支援について、今後の展望やお知らせなどはありますか?」
上田「今後も、発表待ちのお知らせがたくさんありますよ〜!笑
岩手にあるジオファームさんが、地熱と馬糞を利用したマッシュルームを作っているのですが、そのマッシュルームを使って、マッシュルームスープを開発中です。実は、よく行くレストランのシェフにお願いをして開発してもらっているのですが、きっと美味しく作ってもらえると思いますので、近々発表しますね!
あとは、馬糞で作ったリンゴのジュースについて、そのパッケージにも注目していただけたら嬉しいです!実は引退馬支援に協力してくれるイラストレーターさんがパッケージデザインをしてくださったもので、そのパッケージにもいろんな柄があるんです。
とても可愛く仕上げてくださったので、コレクションする勢いで買って欲しいですね!笑
こんな感じで、私たち「馬と歴史と未来の会」では、
いろんな形の引退馬支援、馬の仕事を増やす事をやっていきたいと思っているので、そういう取り組みを、ぜひ楽しんで見ていただけたら嬉しいですね!」
YURIE「今回は、たくさんお話聞かせていただきありがとうございました!
次回は、ホースセラピー活動について伺いたいと思いますので、またよろしくお願いします!」
馬と歴史と未来の会
・Twitter https://twitter.com/ahaltekeion2020
馬っこパークいわて
岩手県滝沢市砂込389−18
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